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公益社団法人・公益財団法人への移行


   特例民法法人が公益社団法人、公益財団法人へ移行する際の手続きは、次のとおりです。


<ステップ1>移行の認定申請の準備

   新たな公益社団法人・公益財団法人にふさわしい法人として、公益認定の基準を満たすことができるよう、事業内容、財務内容や組織を見直します。
   公益社団法人・公益財団法人になった場合には、このような定款を変更するという「定款の変更の案」(法人名称の変更、目的や事業内容の変更、組織の変更など)を、社員総会の決議を経るなどして、法人として正式に意思決定しておきます。


<ステップ2>認定の申請

   内閣総理大臣又は都道府県知事あてに、認定申請書類を提出します。申請書類は次の通りです。
① 申請書(申請法人の名称、公益目的事業の種類・内容などを記載)
② 定款及び定款の変更の案
③ 事業計画書、収支予算書、財産目録、貸借対照表その他の財務書類
④ 役員の報酬支給の基準
⑤ その他


<ステップ3>申請の審査

   申請を受けた内閣府(都道府県)は、申請書類を確認の上、公益認定等委員会(都道府県に置かれる合議制の機関)に諮問します。
   移行認定の基準は、次の通りです。
① 定款の内容が法人法及び認定法に適合するものであること
② 認定法5条各号に掲げる公益目的事業比率、経理的基礎等の18項目
の認定の基準を満たすものであること
③ 認定法6条に掲げる欠格事由に該当しないこと
   なお、法令や所管官庁の命令に違反していたり、暴力団が関係する法人は、移行の認定を受けることができません。


<ステップ4>認定、不認定

   公益認定等委員会(都道府県に置かれる合議制の機関)の答申を受けて、認定をすることが決定されると、認定書が交付されます。
   認定の基準に適合しない、欠格事由に該当するなどにより、認定をしないことが決定されると、その理由を付して、通知されます。


<ステップ5>移行の登記

   認定を受けた法人は、2週間以内に主たる事務所の所在地の登記所に、また3週間以内に従たる事務所の所在地の登記所に、法人の名称等を変える「移行の登記」(解散・設立の登記)をする必要があります。


    <移行登記の効果>

・ 移行の登記をした日から、申請した定款の変更が効力を生じ、名称が変わり、公益社団法人・公益財団法人となります。>
・ 公益法人認定法に規定する規律を遵守しなければなりません。

・ 内閣総理大臣(都道府県知事)が、公益社団法人・公益財団法人として認定したことを一般国民に公示します。
・ 内閣総理大臣(都道府県知事)が、監督を行います。


<ステップ6>税務の手続

   特例民法法人が、公益社団法人、公益財団法人への移行の認可を受けた場合には、解散の登記と設立の登記をし、その登記をした日の前日を事業年度の末日として、事業年度が区切られます。
   したがって、その特例民法法人に法人税の申告・納税義務がある場合には、区切られた事業年度に係る申告期限までに確定申告書を提出する必要があります。
   また、納税義務がある場合には、認定を受けた旨を記載した「異動届出書」を、納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。


<ステップα>認定の再申請

   認定をされなかった場合は、特例民法法人(社団法人、財団法人)のままであり、定款の変更の案は、効力を生じません。
   認定されなかった理由を踏まえ、必要な事業や組織の改善を行って、再度、公益社団法人・公益財団法人への移行の認定申請をすることができます。移行期間中であれば、申請回数に制限はありません。


<ステップβ>一般社団法人・一般財団法人への移行の認可の申請

   方針を転換し、一般社団法人・一般財団法人に移行することとした法人は、そのための定款の変更の案、公益目的支出計画等の書類を作成し、移行の認可を申請します。