公益法人の設立・会計・税務・公益認定、学校法人・社会福祉法人・宗教法人の会計

公益法人制度改革


    平成12年12月から始まった行政改革の一環として、公益法人制度改革が行われてきました。
    公益法人(民法第34条に基づく社団・財団をいいます)は、我が国の社会経済において重要な位置を占め、民間の非営利活動を担う代表的主体として歴史的に一定の大きな役割を果たしてきました。しかしながら、我が国の公益法人制度は、主務官庁の許可主義による制度となっていて、明治29年の民法制定以来、100余年にわたり抜本的な見直しは行われていません。

    特別法による法人制度を除き、近年に至るまで、一般的な非営利法人制度がなかったため、時代の変化に対応した国民による非営利活動の妨げになってきたとの指摘がありました。特に、公益法人は、公益性の判断基準が不明確であり、営利法人類似の法人や共益的な法人が主務大臣の許可によって多数設立されてきました。これらが税制上の優遇措置や行政の委託、補助金を受け、天下りの受け皿になってきたことなどについて様々な批判を受けてきました。

    従来の主務官庁の許可主義による公益法人制度においては、法人格の取得と公益性の判断や税制上の優遇措置が一体となっているため、様々な問題が生じました。
    そこで法人格を一定の優遇措置と分離し、民間の非営利活動を促進するため、公益性の有無にかかわらず、準則主義(登記)により簡便に設立できる新たな非営利法人制度を創設することとしています。つまり法人格の取得と公益性の判断を分離しようというわけです。
    そしてさらに、税等の優遇措置を与えるためには、明示的な立法に拠るよう整備する必要があります。社会貢献性(公益性)を有する法人には様々な優遇措置が講ぜられていますが、普遍的な国民の納税義務(憲法第30条)の下での公益性については、客観的で明確な基準を法律で定めるべきなのです。

    このような趣旨に基づいて制定され、公益法人制度改革関連三法と呼ばれる次の3つの法律が平成18年6月2日に公布され、平成20年12月1日から施行されました。

「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」・・・略して「法人法」といいます。
    剰余金の分配を目的としない社団及び財団について、その行う事業の公共性の有無にかかわらず、登記により間便に法人格を取得することができる一般法人に関する制度を創設し、その設立、組織、運営及び管理についての規定を整備したものです。


「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」・・・略して「認定法」といいます。
    認定委員会等の関与の下で内閣総理大臣又は都道府県知事が、一般法人のうち、公益目的事業を行うことを主たる目的としている法人を公益認定法人とし、これらの監督を行う制度を創設したものです。


「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」・・・略して「整備法」といいます。

    約2万6千ある従来の社団法人・財団法人(民法34条法人)は、法人法の施行と同時に特例民法法人となるが、この特例民法法人は、施行日から5年間の移行期間に、公益認定法人への移行の認定の申請又は一般法人への移行の認可の申請をしなければならず、この申請をしなかった法人と認定又は認可を受けていない法人は、解散したみなれることになります。


    新しい公益法人制度は、これらの法律に基づいて施行されている公益法人に関する制度です。