公益法人の設立・会計・税務・公益認定、学校法人・社会福祉法人・宗教法人の会計

公益法人とは


《一般的な公益法人》


    公益法人とは、従来までは、一般的に社団法人及び財団法人を指していましたが、新しい公益法人制度のもとでは、一般的に、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人及び特例民法法人をいいます。

●一般社団法人、一般財団法人


    登記のみで設立することができ、従来のような主務官庁による設立許可は必要ありません。また、必ずしも公益を目的とする必要がありません。ちなみに、社団法人は一定の目的のために結合した人の集まりに法人格を付与したもので、財団法人は一定の目的のために提供された財産を運営するためにつくられる法人をいいます。

●公益社団法人、公益財団法人


    一般社団法人、一般財団法人のうち公益認定基準に適合すると認められた法人について、法人の申請に基づき、公益社団法人、公益財団法人に認定されます。この場合の公益認定基準に適合するかどうかの判断は、従来の主務官庁による審査に代えて、内閣府に設置された民間有識者からなる公益認定等委員会(行政庁が都道府県知事である場合には、合議制の機関(都道府県公益認定等審議会))の意見に基づき、行政庁が行います。

●特例民法法人


    従来の公益法人は、平成20年12月1日以降、「特例民法法人」として位置付けられました。 特例民法法人は、平成25年11月30日までの5年間の移行期間中に、公益認定等委員会等の意見に基づく行政庁の認可又は認定を受け、一般社団・財団法人又は公益財団・財団法人に移行する必要があり、移行期間中にいずれも移行しなかった特例民法法人は解散したものとみなされます。


《狭義の公益法人》


    一般社団法人及び一般財団法人は必ずしも公益を目的とする必要はありません。したがって、公益法人を狭義に解すれば、公益法人とは、公益社団法人又は公益財団法人を指していうことになります。


《広義の公益法人》


    公益を目的とする法人のひとつの類型として、その他の特別法に基づいて設立される法人、例えば、学校法人や社会福祉法人などもあります。広義にはこれらを含めて公益法人ということがあります。


《法人税法上の公益法人等》


    法人税法においては、公益法人等という用語があります。法人税法第2条六号では、公益法人等とは別表第二に掲げる法人をいうとして、別表第二において110前後の法人を限定的に列挙しています。
    すなわち法人税法上の公益法人等には、①一般社団・財団法人(非営利型法人に該当するものに限る)、②公益法人・財団法人及び特例民法法人、③社会医療法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人等が含まれます。
    これらの公益法人等に対しては、収益事業から生じた所得に対してのみ、法人税等を課税する措置が講じられています。
    一般社団・財団法人のうち、非営利型法人に該当しないもの(一般的には「営利型一般財団・財団法人」という場合があります)は、法人税法上の公益法人等に該当しません。そのため、営利型一般社団・財団法人においては、株式会社等の営利法人と同様に、すべての所得に対して法人税等の課税が行われることになります。


《公益法人の税制》


    一般社団法人、一般財団法人は、登記のみで設立でき、また、原則として、公益目的事業を行っているかどうかの監督もありません。そのため、税制上のメリットは与えられておらず、株式会社等の営利法人と同様にすべての所得に対して法人税等(各事業年度の所得に対する法人税及びこれに関連する地方税をいう)が課税されます。
    ただし、一般社団法人、一般財団法人のうち、一定の要件を満たす非営利型法人(「非営利型一般社団・財団法人」という場合があります)においては、法人税法上の収益事業から生じた所得に対してのみ、法人税等を課税する措置が講じられています。
    公益社団法人、公益財団法人においては、法人税法上の収益事業から生じた所得に対してのみ、法人税等が課税されるのが原則です。そして、さらに、公益社団法人、公益財団法人が行う事業のうち認定法に規定する公益目的事業に該当するものは、法人税法上の収益事業の範囲から除外する措置が講じられています。
    また、公益社団法人、公益財団法人には、みなし寄附金の制度が設けられています。
    なお、特例民法法人には、従来どおりの税制が適用されます。