法人の確定申告
こんな方は
高橋会計事務所にお任せください!
会社の申告も個人事業と同じように自分でできると思っていたができなかった。
税理士に依頼しないうちに申告期限を迎えてしまった。
できるだけ費用を抑えたいので決算・申告だけ依頼したい。
顧問契約をするほどの規模ではないので、今は決算・申告だけ依頼したい。
会社を作ったものの、もう何年も申告したことがない。
記帳は自分でやるので決算・申告だけ依頼したい。
記帳から丸投げで決算・申告まで依頼したい。
法人の確定申告 Q&A
1.会社の確定申告はいつどこにするのか
会社の確定申告は個人よりも複雑で、申告書をいくつも提出する必要があると
聞きましたが、いつまでにどこに申告書を提出するのでしょうか?
会社は原則として、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に確定申告をする
ことになっています。例えば、3月31日決算の会社は、5月31日までに確定申告
をしなければなりません。
会社の確定申告書には、①法人税の申告書、②法人県(道府)民税・事業税の申
告書、③法人市町村民税の申告書の3種類があります。なお、①の法人税は国
税(国が課す税金)で、②の法人県民税・事業税と③法人市民税は地方税(地方自
治体が課す税金)です。
提出先がそれぞれ異なり、①の法人税の申告書は本店所在地の所轄の税務署へ、
②の法人県民税・事業税の申告書は道府県税事務所へ、③法人市町村民税の申
告書は市長村役場へ提出します。
東京都の23区内の会社の場合は、②の法人県(道府)民税・事業税の申告書、③
の法人市民税の申告書が一つになった都民税・事業税の申告書を都税事務所に
提出しますので、提出先は2か所になります。
申告書の提出は、税務署等へ持参するほか、郵送やインターネットを利用する
e-TAXでもすることができます。なお、申告書の用紙は、決算日後1か月程度の
うちに、税務署、都道府県税事務所、市町村から郵送されてきます。
2.会社の税金はいつまでにどこへ納付するのか
会社の税金はいつまでにどこに納付するのでしょうか?また、会社には個人事
業者のように振替納税制度はないのでしょうか?
会社の利益に対してかかる税金には、法人税、法人都道府県民税・事業税、法
人市町村民税の3つがありますが、これらはいずれも申告期限までに納付する必
要があります。つまり、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に納付しなけれ
ばなりません。
法人税等の納付は、納付書に納付すべき金額を記載して、納付書に現金を添え
て行います。税務署等のほか、最寄りの銀行や郵便局なども納付することがで
きます。また、インターネットバンキングにより納付することもできます。
なお、会社には、個人事業者の所得税の納付にあるような振替納税制度はあり
ませんので、納付書又はインターネットバンキングにより事業年度終了の日の
翌日から2ヵ月以内に納付しなければなりません。
3.会社の確定申告が遅れるとどうなるのか
当社の内部的な事情で申告期限までに確定申告ができそうにありませんが、こ
のような場合はどうなるのでしょうか?どのように対応すればよいのでしょうか?
会社は原則として、事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以内に確定申告をする
ことになっています。確定申告をしないうちに申告期限が過ぎてしまった場合、
申告書を提出すべき法人は、申告期限後でも決定があるまでは、申告書の提出
ができることになっていますので、申告書が出来次第速やかに確定申告をして
ください。
決定とは、申告書を提出する義務がある法人が、その申告書を提出しなかった
場合に、税務署長が調査して税額を決定することをいいます。
確定申告の期限が過ぎた後にする申告を期限後申告といいます。期限後申告の
場合には、無申告加算税と延滞税が課されることになっていますので注意して
ください。期限後申告の場合の無申告加算税は、納付すべき税額に対し、原則
として15%相当額ですが、税務調査を予知してされたものでないときは5%相
当額です。ただし、期限内申告書の提出がなかったことについて正当の理由が
あると認められるときは課されないことになっています。
なお、2年連続で期限後申告となると青色申告が取り消しになってしまいます
ので注意してください。
4.会社が赤字でも税金はかかってくるのか
今期は赤字ですので法人税等はかからないと理解していますが、それで間違
いないでしょうか?
会社が赤字であれば、法人税等がかかることは基本的にありません。ただし、
法人県民税及び法人市民税の均等割は、会社の利益にかかわらず課されること
になっています。均等割は会社の資本金及び従業員数によって決められていて
税額は最低でも7万円です。
また、会計上は赤字であっても、法人税法上は損金に算入されない費用が多額
にある場合には、法人税の所得金額が黒字となってしまい、法人税がかかって
しまう場合もあります。
たとえば、多額の交際費や寄附金、役員給与の損金不算入額がある場合です。
交際費などは、会計上は当然費用になりますが、法人税では全額が損金になる
わけではありませんので、会計上は赤字でも、法人税上は黒字ということもあ
るのです。
5.中間申告とはなにか
会社になると中間申告をしなければならないと聞きましたが、中間申告とは
どういうもので、どのようにするのでしょうか?
法人税の申告には確定申告と中間申告があります。決算日から2か月以内にそ
の事業年度の申告を行うのが確定申告で、事業年度開始の日から6か月(半年)
分を申告するのが中間申告です。
中間申告は事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2ヵ月以内に中間申
告書を所轄の税務署に提出することにより行います。例えば、3月決算の会社
であれば、4月から9月までの分を11月30日までに申告することになります。
中間申告をしなければならないのは、前期の法人税額が20万円を超える会社
です。したがって、前期が赤字の会社・前期の法人税額が20万円以下の会社・
新たに設立された会社などは中間申告をする必要がありません。
中間申告の方法には、前年実績による予定申告と仮決算による中間申告の2つ
の方法があり、どちらでも選択することができます。前年実績による予定申
告は、前期分の法人税額の1/2相当額を申告納付する方法です。前期分の法
人税額の1/2を記載した中間申告書と納付書が税務署から送られてきますの
で、これに基づいて納付するだけです。中間申告書に代表者が署名押印して
提出するのが原則ですが、中間納税額を納付すれば、中間申告書を提出しな
くてもかまいません。
仮決算による中間申告は、事業年度開始の日以後6か月の期間を1事業年度と
みなして仮決算を行い、その仮決算に基づいて申告書を作成して提出する方
法です。前年実績による予定申告の方が簡単ですので、今期の利益が前期と
同程度であれば、この方法を選択すべきものと思われます。今期の前半の業
績が悪く、仮決算による中間申告をした方が税額が少なくなるような場合は
仮決算による中間申告を選択すべきでしょう。
なお、申告期限内に申告書の提出がない場合には、前期実績による予定申告
があったものとみなされることになっています。
図表 法人税の「申告」及び「納付」の概要
中間申告(注1) | 確定申告 | ||
---|---|---|---|
区分 | 前期実績による予定申告 | 仮決算による中間申告 | - |
申告内容 | 前期分の法人税額の 1/2相当額を申告する |
前期分の法人税額の 1/2相当額を申告する |
確定した決算に基づく所得金額及びこれに対する法人税額を 申告する |
申告期限 | 事業年度開始の日以後 6か月を経過した日から 2か月以内。 |
事業年度開始の日以後 6か月を経過した日から 2か月以内。 |
事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内(注2) |
申告期限内に申告書の提出がない場合には、前期実績による予定申告があったものとみなされる。 | |||
納期限 | 申告期限に同じ | 申告期限に同じ | |
納税額 | 申告書に記載した税額 | 申告書に記載した本税額から 中間納付税額を控除した税額 |
(注1)中間申告が必要なのは、前事業年度の期間が6月を超え、かつ、前期の実績による
中間納付額が10万円を超える普通法人に限る。
(注2)申告期限の延長制度がある。災害その他やむを得ない理由によって決算が確定しな
い場合には、税務署長の指定した提出期限まで申告期限を延長することができる。
この場合には、確定申告税額に対して年7.3%(原則)の割合による利子税を納付
しなければならない。
6.会社の利益と所得金額はどこが違うのか
会社の利益(会計上の利益)と法人税法上の所得金額は違うそうですが、どこ
が違うのでしょうか?
すべての株式会社は会社法の規定に従って、毎決算期ごとに①貸借対照表、
②損益計算書、③株主資本等変動計算書、④個別注記表を作成することに
なっています。
このうち②の損益計算書は、一事業年度の経営成績を表すものです。事業年
度が4月1日から翌年3月31日までとすると、その期間に得られた収益か
ら、その収益を得るためにかかった費用を差し引いて、どのくらいの利益が
出たのかを表すのが損益計算書です。
収益とは売上高や営業外収益などをいい、費用とは売上原価、販売費及び一
般管理費、営業外費用などを総称していいます。会社の利益とは、この損益
計算書によって計算された利益のことで、会計上の利益ともいいます。
一方、会社は法人税法の規定に従って、各事業年度ごとに益金の額から損金
の額を差し引いて所得を計算し、その所得金額に基づいて法人税額を計算し
ます。
会計でいう「収益」「費用」「利益」とは、法人税法でいう「益金」「損
金」「所得」という用語と対応しています。すなわち「収益」と「益金」、
「費用」と「損金」、「利益」と「所得金額」という具合です。
ただし、会計では収益とされても、税法では益金とならないものがあります
し、会計で費用とされても、税法で損金にならないものもあります。また、
これとは逆に、会計では収益とならないものが、税法では益金となったり、
会計で費用とならないものが、税法で損金になることもあります。そのため
利益と所得金額には違いが生じることになります。利益と所得の違いは、次
のような項目があるため生じるのです。
①益金不算入項目・・・受取配当金のように収益ではあるが益金でないもの
②損金不算入項目・・・交際費のように費用ではあるが損金ではないもの
③益金算入項目・・・・洗替えによる貸倒引当金戻入れのように収益ではな
いが益金となるもの
④損金算入項目・・・・繰越欠損金のように費用ではないが損金となるもの
なお、法人税の所得金額は益金から損金を差し引いて計算しますが、会計の
損益計算とまったく別に計算するのではありません。会社法の確定した決算
による利益を基にして、益金算入項目と損金不算入項目を加算し、益金不算
入項目と損金算入項目を減算して所得金額を計算します。この計算は、法人
税の確定申告書の別表四で行なうことになります。
7.赤字決算になったがその赤字は繰越せるのか
当社は設立1期目ですが、今期は大幅な赤字になりそうです。今期の赤字を
来期以降に繰り越すことができるのでしょうか?
会社の赤字とは、一般には、会計上の利益がマイナスになっていることをい
います。青色申告者であれば、この赤字は7年間又は9年間繰り越すことが
できます。
厳密にいうと会計上の赤字の金額そのままではなく、法人税法上の欠損金(当
期の損金の額が当期の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額
をいいます)を繰り越すことができるということになります。会計上の赤字の
金額に、損金に算入されない交際費等の額を加算するなど一定の調整を加え
たものが、法人税法上の欠損金です。
繰り越すことができる期間は、平成20年3月31日までに終了した事業年度で
生じた欠損金額は7年間、平成20年4月1日以後に終了した事業年度で生じた
欠損金額は9年間です。前期以前に生じた欠損金について、一定の条件を満
たす場合には当期に繰越して、課税所得の計算上、損金に算入することが認
められるのです。これを欠損金の繰越控除といいます。
ただし、その欠損金額の生じた事業年度において青色申告書を提出し、かつ
その後において連続して確定申告書を提出している場合に限られます。欠損
金の生じた事業年度が青色申告でさえあれば、その後において青色申告の取
消し等があり連続関係が断たれてもかまいません。過去2以上の事業年度にお
いて欠損金額が生じているときは、最も古い事業年度において生じたものか
ら順次繰越控除することになっています。
なお、青色申告書を提出しなかった事業年度において生じた欠損金額であっ
ても、災害によって生じたもの(災害損失金)については、7年間又は9年間
の繰越控除が認められます。
8.赤字決算になったら過去に納めた税金を返してくれるのか
当社は設立以来黒字経営で法人税等を納付してきましたが、今期は赤字にな
りそうです。赤字決算になったら過去に納めた税金を返してくれるのでしょ
うか?
今期の赤字を前期に繰り戻して、前期の所得計算及び税額計算をやり直して
前期に払い過ぎた税金を返してもらうことができます。
すなわち、中小企業等は、青色申告書を提出する事業年度に生じた欠損金額
がある場合、欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度
の所得に対する法人税額の還付を請求できることになっています。
欠損金の繰戻しによる還付を受けるためには、①還付所得事業年度から欠損
事業年度の前事業年度まで連続して青色の確定申告書を提出していること、
②欠損事業年度の青色の確定申告書を期限内に提出すること、③期限内の確
定申告書の提出と同時に還付請求をすることが必要とされています。
以上の条件を満たす場合には、次の算式により計算した金額の還付を請求す
ることができます。
赤字決算となった場合、これを翌期以降に繰り越すか、又は繰戻しによる還
付を請求するかは会社の任意です。資金繰りを考慮すると、当然に繰戻しに
より還付を請求すべきことになりますが、還付を受けると原則として税務調
査が行われることになっていますので注意する必要があります。