消費税のことなら 高橋会計事務所  千葉県八千代市 「消費税還付」


消費税還付


★ 消費税還付の上手なやり方 ★


1 設備投資をしたときの消費税の還付

 消費税の納付額は、売上に係る消費税額から仕入等に係る消費税額を控除することにより求められますが、常に売上に係る消費税額の方が大きいとは限りません。
 設備投資をしたときなどは、仕入等に係る消費税額の方が大きくなり、控除不足額が生じることもあります。この場合には消費税の還付が受けられるのです。

 

2 輸出業者の消費税の還付

 また、輸出を専業又はメインとする事業者も常に控除不足額が生じることになります。輸出業者についても消費税の還付が受けられます。
 事業者は控除不足額がある場合には、消費税の確定申告義務がないときであっても、その控除不足額の還付を受けるための申告書を所轄税務署長に提出することができることになっています。
 なお、還付を受けるための申告をするかどうかは事業者の判断に任されおり、還付申告をしなければ還付されることがないということになります。

 

3 免税事業者の消費税の還付

 消費税の還付を受けることができるのは、課税事業者に限られています。免税事業者は売上げに係る消費税の納税義務が免除されるとともに、仕入税額控除を受けることはできませんし、還付申告をすることもできません。
 しかし、これでは、免税事業者は、大きな設備投資をしたときなどは消費税で不利な取扱いを受けることになってしまいます。 
 そこで、免税事業者であっても課税事業者を選択する旨の届出をすることにより、課税事業者となることができます。この届出は、「消費税課税事業者選択届出書」を所轄税務署に提出することにより行ないます。これにより免税事業者も仕入税額控除が可能となり、還付を受けることができるようになります。
 そこで免税事業者が大きな設備投資をするときは、この届出書を提出して課税事業者になっておけば、消費税の還付が受けられるようになるというわけです。 
 なお、免税事業者が消費税の還付を受けるために課税事業者になろうとするときは、次の点に注意する必要があります。 
 ① 届出書の提出時期について 
 「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、その届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間から生じることになっています。 
 したがって、例えば、大きな設備投資をする場合などは、その設備投資をする事業年度が開始する前に届出書を提出する必要があります。設備投資をする事業年度が始まってしまってからでは間に合わないということになります。
 ② 2年間は課税事業者となること 
 いったん課税事業者を選択すると、2年間継続した後でなければ免税事業者に戻ることはできませんので、この点をよく考慮しなければなりません。 
 設備投資をした事業年度の売上げに係る消費税と仕入等に係る消費税だけでなく、翌事業年度の売上げに係る消費税と仕入等に係る消費税も考慮して、課税事業者を選択するかどうかを判断する必要があります。 
 なお、免税事業者に戻るためには、「課税事業者選択不適用届出書」を提出しなければなりません。この届出書も提出した日の翌課税期間からその効力が生じることになります。


4 簡易課税選択適用者が設備投資をしたときの消費税の還付

 課税事業者は、売上げに係る消費税から仕入等に係る消費税を控除することができ、控除不足額がある場合は、その還付を受けることができます。
 しかし、簡易課税制度を選択している場合には、消費税の還付ということはありえません。簡易課税制度では、実際の課税仕入れに係る消費税額によらず、課税売上げに係る消費税額を基に仕入控除税額を計算することになるからです。
 つまり、簡易課税制度を選択している事業者についても、そのままでは消費税の還付を受けることはできません。したがって、簡易課税制度を選択している事業者が大きな設備投資をする場合で、消費税の還付を受けたいときは、簡易課税制度の選択を取り止める必要があります。
簡易課税制度の選択の取り止めは、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を所轄税務署長に提出することにより行ないます。この届出書は簡易課税制度を取り止めようとする期間の前日までに提出する必要がありますので注意して下さい。


5 消費税の還付を受けるときの課税期間の短縮

 消費税の計算をする際の基礎となる課税期間は、個人事業では1月1日から12月31日までの暦年、法人ではその法人の事業年度とするのが原則です。
 消費税の還付申告をするのは、個人事業者では翌年の2月15日から3月31日までの間、法人では事業年度終了後2ヶ月以内で、実際に還付されるのはそれからさらに1~2ヶ月程度後のことになってしまいます。
 そのため事業年度の初めに大きな設備投資をした場合、消費税が還付されるのは1年以上も先のことになってしまいます。これでは資金負担が容易ではありません。
 そこで、還付を少しでも早く受けたいというときには、消費税の課税期間を短縮して早期に還付を受けるという制度が設けられています。課税期間は暦年又は事業年度とするのが原則ですが、3ヶ月又は1ヶ月に短縮することもできるのです。
 課税期間を1ヶ月に短縮してしまえば、1ヶ月ごとに消費税の申告をすることになり、1月に設備投資をした場合には、3月に還付申告をすることができます。課税期間が1年の場合と比べると、最長で11ヶ月も早く消費税の還付が受けられるというわけです。

 課税期間を短縮しようとするときは、短縮しようとする課税期間が始まる前日までに、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。この届出があると、法人では事業年度開始の日以後3ヶ月又は1ヶ月ごとに区分した期間が課税期間となります。
 例えば、事業年度が4月1日から翌年3月31日までの法人が課税期間を1ヶ月に短縮する届出書を6月15日に提出すると、4月1日から6月30日までが一つの課税期間となり、7月からは1ヶ月単位の課税期間となります。
 もっとも、課税期間を短縮すると、還付を受けるときは都合がいいのですが、その後に消費税を納付するようになると、3ヶ月ごと又は1ヶ月ごとに消費税の申告をしなければなりませんので手間がかかってしまうという煩わしさが残ります。
 そして、この届出により課税期間を短縮してしまうと、2年間は取り止めることができませんので注意して下さい。
 課税期間の特例選択を取り止めるためには、「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。


6 消費税の還付を受ける事業年度の経理方式

 消費税の経理方式には、税込経理方式と税抜経理方式があります。税込経理方式は経理処理が簡便というメリット、税抜経理方式は法人税又は所得税の節税につながるというメリットがあり、一般的には、どちらを選択するかは事業者の都合により判断すべきこととなります。
 ただし、設備投資をして消費税の還付申告をする事業年度では、税抜経理方式を採用すべきです。税込経理方式では、還付税額を雑収入として処理しなければなりませんが、税抜経理方式では仮払消費税の取り戻しとして処理することができ、雑収入に計上する必要がないからです。